猫の糖尿病ってどんな病気?
「最近、猫がやたらと水を飲む」「ご飯を食べているのに痩せてきた」
そんなときに疑われる病気のひとつが 猫の糖尿病 です。人間と同じように猫にも糖尿病があり、放っておくと命に関わることもあります。ここでは、症状や原因、治療方法、そして日常生活での注意点を分かりやすくご紹介します。

猫の糖尿病の主な症状
猫の糖尿病は初期のうちは気づきにくいのが特徴です。飼い主さんが気づきやすいサインは次の通りです。
- 多飲多尿:水をたくさん飲み、おしっこの量も増える
- 食欲旺盛なのに体重減少:しっかり食べているのに痩せてくる
- 毛艶の悪化:毛並みがボサボサしてくる
- 元気がない、よく寝る
- 後肢の神経障害:進行すると後足の力が弱くなり、足の裏で歩く様になる
「うちの猫、最近ちょっと変かも?」と感じたら、糖尿病のサインかもしれません。
猫の糖尿病の主な原因
猫の糖尿病は、インスリンが正しく働かなくなることで血糖値が高くなる病気です。主な原因には以下があります。
- 肥満:特に中高齢で太り気味の猫に多い (猫の糖尿病は人間と同じように2型の糖尿病が多いです)
- 加齢:10歳以上で発症が増える
- 雄猫に多い:性別によるリスク差が報告されています
- 膵炎やホルモン異常:他の病気(膵炎など)がきっかけになることも
つまり「太っていてシニア世代」の猫は要注意です。
動物病院を受診する目安
こんなときは早めの受診をおすすめします。
- 水をがぶ飲みする・トイレの砂がすぐに湿る
- 食べても痩せてきた
- 急に元気がなくなった
- 足取りがふらつく
早期発見・早期治療が、猫の糖尿病の予後を大きく左右します。
猫の糖尿病の診断・検査

動物病院では以下の検査で糖尿病かどうかを調べます。
- 血液検査:血糖値、フルクトサミン(長期的な血糖コントロール指標)
- 尿検査:尿糖やケトン体の有無
- 画像検査:必要に応じて膵炎などの併発疾患を確認
「ただ水を飲む量が増えただけ」と思っても、検査してみると糖尿病だったというケースも少なくありません。
猫の糖尿病の治療・家庭での対応
糖尿病と診断されたら、治療は基本的に インスリン注射と食事療法 です。
- インスリン注射:毎日決まった時間に皮下注射。最初は大変に感じるかもしれませんが、飼い主さんが慣れてくれば自宅で可能です。
- 食事療法 :高タンパク・低炭水化物の療法食
- 肥満の子は適正体重への減量
ご家庭でできること
- 獣医師の指示に従い、血糖値や体重を記録
- 生活リズムを安定させる(食事・注射時間を守る)
糖尿病の猫は、治療を続けることで 「寛解(インスリンなしでコントロールできる状態)」 に入ることもあります。
猫の糖尿病の予防・日常生活での注意点
糖尿病を完全に防ぐことは難しいですが、リスクを減らすことは可能です。
- 適正体重をキープする
- 運動不足を避ける(遊びやキャットタワーで運動)
- 定期健診を受ける(中高齢の猫は年1~2回)
日頃のちょっとしたケアが、猫の糖尿病予防につながります。
FAQ(よくある質問)
Q1. 猫の糖尿病は治るの?
A. 完全に「治る」とは言い切れませんが、インスリン治療と食事管理で「寛解」する猫もいます。
Q2. インスリン注射って自宅でできるの?
A. はい、獣医師からの指導を受ければ飼い主さんが毎日行えます。痛みも少なく、多くの猫が大人しく受けてくれます。
Q3. 治療費はどのくらいかかる?
A. 猫の体重や状態によって異なりますが、インスリンや療法食で 月1〜2万円程度 が目安です。定期的な血液検査も必要になります。
Q4. 食事は市販のフードでもいい?
A. 基本的には獣医師がすすめる療法食がおすすめです。市販フードでは炭水化物が多すぎる場合があります。
まとめ

猫の糖尿病は中高齢の肥満猫に多く、多飲多尿・体重減少・元気の低下 などがサインです。
早期に診断・治療を始めることで、寛解や長期的な安定も期待できます。
「最近なんだか様子がおかしいな」と思ったら、早めに動物病院で相談してください。
大切な猫ちゃんが少しでも元気に長生きできるように、飼い主さんと私たち獣医師で一緒にケアしていきましょう!
コトー動物病院では、猫の糖尿病に関する検査・治療・生活相談を行っています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。