犬のてんかんってどんな病気?
犬に起こる「てんかん」は、突然の発作で飼い主さんをとても驚かせる病気のひとつです。初めて目にすると、「どうしたらいいの?」「命に関わるの?」と不安になる方も多いと思います。この記事では、犬のてんかんについてわかりやすく解説し、日常生活で気をつけるべきポイントまでお伝えします。

目次
犬のてんかんの主な症状
犬のてんかんは、脳の神経の異常な電気信号によって起こる発作が特徴です。代表的な症状は以下のとおりです。
- 突然のけいれん(体が硬直する、バタバタと足を動かす)
- 意識を失う、呼びかけに反応しない
- よだれが大量に出る
- 失禁や脱糞を伴うことがある
- 発作前に落ち着きがなくなる、うろうろする
発作は数十秒〜数分で治まることが多いですが、繰り返し起こる場合や長く続く場合は注意が必要です。
犬のてんかんの主な原因
犬のてんかんには大きく分けて2種類あります。
- 特発性てんかん
遺伝的な要因が関係しており、特に若い犬(6か月〜5歳頃)に多く見られます。MRIや血液検査でも明らかな異常が見つからないのが特徴です。
- 構造的てんかん(症候性てんかん)
脳腫瘍、脳炎、外傷、中毒など、脳に何らかの異常があることで発作が起きます。特にシニア犬ではこちらの可能性が高くなります。
動物病院を受診する目安
次のような場合は早めに病院を受診してください。
- 初めて発作が起きたとき
- 5分以上発作が続くとき
- 1日に何度も発作を起こすとき
- 発作後もふらつきや失明などの異常が続くとき
- 老犬で突然発作が出たとき
発作が短時間でおさまっても、動画を撮影して獣医師に見せると診断にとても役立ちます。
犬のてんかんの診断・検査

犬のてんかんの診断は「他の病気ではないこと」を確認することが重要です。動物病院で行う主な検査は以下の通りです。
- 神経学的検査:発作以外の隠れた神経症状の確認
- 血液検査:肝臓病や腎臓病など代謝性の原因を除外
- MRI検査:脳腫瘍や脳炎の有無を確認
- 脳脊髄液検査:炎症や感染の有無を調べる
これらを総合して「特発性てんかん」か「構造的てんかん」かを判断します。
犬のてんかんの治療・家庭での対応
犬のてんかん治療は、主に抗てんかん薬による内科治療が中心です。
- ゾニサミドなどの薬を毎日服用
- 血中濃度を定期的に測定し、効果と副作用のバランスをチェック
- 発作が完全に止まらなくても「回数や時間を減らすこと」が治療目標
ご家庭でできること
- 発作が起きたら慌てず安全な場所へ移動させる
- 口に物を入れない(舌を噛んでも命に関わらない)
- 発作の様子を動画で記録
- 獣医師の指示がある場合は座薬や液体薬を使う
犬のてんかんの予防・日常生活の注意点
残念ながら、てんかん自体を完全に予防することはできません。ただし発作を誘発する要因を避けることでコントロールしやすくなります。
- 睡眠不足や極端なストレスを避ける
- 激しい運動を控える
- 定期的な健康診断で他の病気を早期発見
- 薬の飲み忘れに注意(必ず決められた時間に投与)
- 獣医師と定期的に相談しながら薬の調整を行う
よくある質問(FAQ)
Q1. 犬のてんかんは治りますか?
A.完全に治すことは難しいですが、薬でコントロールして普通の生活を送れる犬はたくさんいます。
Q2. 発作中に犬を揺さぶった方がいいですか?
A.揺さぶったり口に手を入れたりするのは危険です。安全な場所で静かに見守りましょう。
Q3. 犬のてんかんは遺伝しますか?
A.特発性てんかんは遺伝的な要因が関係しているといわれています。繁殖は控えた方がよいでしょう。
Q4. 薬は一生飲み続けなければいけませんか?
A. 多くの場合は継続治療が必要です。ただし症状や経過によっては減薬できるケースもあります。
まとめ

犬のてんかんは突然の発作で飼い主さんを驚かせる病気ですが、正しく診断・治療することで十分にコントロール可能です。発作の様子を記録し、獣医師と二人三脚で治療を続けることが愛犬の安心につながります。もし「うちの子もしかして?」と思ったら、早めに動物病院へご相談ください。
コトー動物病院では、犬のてんかんに関する検査・治療・生活相談を行っています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。