猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)ってどんな病気?
猫の飼い主さんの中には、「猫のエイズって人間のエイズと同じなの?」「うちの猫もかかるの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、症状や原因、治療方法、予防まで分かりやすくご紹介します。
猫エイズの主な症状
猫エイズは、感染してすぐには症状が出ないことも多く、数年単位でゆっくり進行していきます。
代表的な症状には以下のようなものがあります。
- 口内炎や歯肉炎(よだれ、口臭、食欲不振)
- 慢性的な下痢
- 体重減少や痩せ
- 免疫力低下による感染症の繰り返し
- 発熱やリンパ節の腫れ
「なんとなく元気がない」「口が痛そうでごはんを食べない」といった症状も猫エイズが関係している場合があります。
猫エイズの主な原因
猫エイズは、猫同士の血液や唾液を介して感染します。特に多いのは以下のケースです。
- 猫同士のケンカによる咬傷(外に出るオス猫はリスク大)
- 感染猫との交尾
- 母猫から子猫への感染(確率は高くありません)
室内飼いの猫であっても、感染猫と接触すればリスクがあります。
動物病院を受診する目安
こんなときは早めの受診をおすすめします。
- 口内炎や歯肉炎が長引いている
- 発熱や元気消失が続いている
- 繰り返し下痢や鼻水が出る
- 外で猫とケンカしてきた
「ケンカをしてから体調がおかしい」いう場合は、なるべく早く検査を受けると安心です。
猫エイズの診断・検査

動物病院では、血液検査によって猫エイズウイルス抗体を調べます。
- スクリーニング検査:数十分で結果がわかる簡易検査
- 確定検査:スクリーニング検査が陽性の場合に行う精密検査
子猫の場合は、母猫から抗体をもらって一時的に「偽陽性」になることもあるため、成長してから再検査が必要です。
猫エイズの治療・家庭での対応
残念ながら、猫エイズを完全に治す治療法はありません。
治療の中心は「症状を和らげ、合併症を防ぐこと」です。
- 口内炎の治療(消炎剤、抗生物質)
- 免疫力を高めるサプリメントやインターフェロン
- 感染症が出たときの対症療法
ご家庭でできること。
- ストレスを減らす
- 栄養価の高いフードを与える
- 清潔な生活環境を保つ
といった、猫が快適に暮らせる工夫です。
猫エイズの予防・日常生活の注意点
猫エイズは「予防」がとても大切です。
- 完全室内飼いを徹底する
- 感染猫との接触を避ける
- 定期的な健康診断を受ける
- 多頭飼育では、猫エイズ陽性の子と陰性の子を一緒にしない
また、人間のエイズと同じ名前ですが、猫エイズは人にうつることはありません。その点は安心してください。
FAQ(よくある質問)
Q1. 猫エイズは人間に感染しますか?
A.いいえ。猫エイズウイルスは人には感染しません。人や他の動物にうつることはないので安心してください。
Q2. 猫エイズにかかると寿命は短くなりますか?
A.進行のスピードは個体差がありますが、発症せずに長生きする猫もたくさんいます。全体として見れば、非感染猫との寿命の差はほとんどないと言われています。定期的な検診と生活環境の工夫で寿命を延ばすことが可能です。
Q3. ワクチンはありますか?
A.日本では一時期ワクチンが使われていましたが、現在はほとんど使用されていません。基本的には室内飼いによる予防が一番効果的です。
Q4. 他の猫と一緒に飼えますか?
A.ケンカをしない性格であれば共存も可能ですが、感染リスクはゼロではありません。特に新しく猫を迎える場合は必ず検査をしましょう。
まとめ

猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)は、長い時間をかけて進行する病気です。
症状がなくても感染している猫も多いため、「少しでも心配」と思ったら早めに動物病院で検査を受けることをおすすめします。
大切な家族である猫ちゃんが、少しでも快適で長く幸せに暮らせるように、私たち獣医師がサポートしますので、ぜひご相談ください。
コトー動物病院では、猫のエイズに関する検査・治療・生活相談を行っています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。