PREVENTIVE MEDICINE予防医療

ワクチンについて

混合ワクチンは危険な感染症からワンちゃんネコちゃんを守るために『免疫』をつけるために行います。ワンちゃんネコちゃんで異なるワクチンをうちます。

犬で必要なワクチン

• 混合ワクチン
• 狂犬病ワクチン


猫で必要なワクチン

• 混合ワクチン

犬のワクチンについて

混合ワクチン

室内の生活中心で、おうち周りの軽い散歩をするくらいの成犬は5種、子犬のうちにはこれに犬コロナウイルスを加えた6種混合ワクチンの接種を行います。
また、レプトスピラというネズミなどの糞尿に媒介される人獣共通感染症があるため(現状、近隣での発生は稀ですが)、ドッグランなどを含む夏場のアウトドアのお出かけや水回りの散歩が多い方には、毎年夏前にレプトスピラ単独ワクチンの追加接種(もしくは6種にレプトスピラが追加された8種/10種混合ワクチン)をおすすめしています。

ワクチンの種類 感染症 死亡率・伝染性 主な症状(発熱・元気食欲低下の他)





犬ジステンパー 死亡率高 目脂・鼻水・発作
犬パルボ 死亡率高・伝染性強 激しい下痢・嘔吐
犬伝染性肝炎 下痢・嘔吐・肝炎・目の白濁
犬アデノⅡ型 くしゃみ・鼻水・咳・肺炎
犬パラインフルエンザ 伝染性非常に強い 咳・鼻水
犬コロナ 子犬では嘔吐や重度の下痢
単体(L4) レプトスピラ 死亡率高・人も感染 黄疸・尿毒症(肝・腎障害)、出血傾向

0歳齢では、初回のワクチン接種の時期にもよりますが、4週間隔で生後16週齢あるいはそれ以後までを目安に3回程の接種を行います。それ以降は年1回を基本とし追加接種、もしくは抗体価検査をおすすめします。

犬のワクチン

狂犬病ワクチン

「犬の病気」と思いがちですが、感染した動物に噛まれたりすることで人を含めた哺乳類に感染し、発症すれば100%死亡する恐ろしい伝染病です。日本では撲滅されていますが、近隣アジアを含め世界中で現在もたくさんの人や動物たちが命を落としています。海外との交通が身近な現在、いつ再発生があっても不思議でない状況もあり、狂犬病予防法という法律で接種が義務付けられています。
成犬では基本的には毎年4月から6月の間に接種することとされています。一方で、生後91日以上の子犬は、混合ワクチン接種のタイミングと調節しながらなるべく早く接種しなければなりませんので受診の際にご相談ください。
当院では通年、狂犬病の接種とさいたま市の発行している狂犬病予防注射済票の代行手続きを行っております(4月に自治体が行う集合注射でも可能です)。

猫のワクチンについて

混合ワクチン

基本的に室内のネコちゃんには3種、また外遊する可能性のある場合や同居猫に猫白血病ウイルス(FeLV)感染のある場合には5種の混合ワクチンをおすすめしています。

ワクチンの種類 感染症 主な症状(発熱・元気食欲低下の他)・特徴


猫汎血球減少症 激しい下痢、嘔吐。子猫では特に致死的になることがある。
猫ウイルス性鼻気管炎 くしゃみ、鼻水、角結膜炎、重症化することがある。
猫カリシウイルス感染症 くしゃみ、鼻水、口腔内潰瘍、跛行、重症化することがある。
クラミジア感染症 結膜炎、くしゃみ、鼻水、咳
猫白血病ウイルス感染症(FeLV) 感染後、数ヵ月から数年で、致命的な免疫力低下や貧血、白血病、腫瘍などを引き起こします。

0歳齢では、初回のワクチン接種の時期にもよりますが、4週間隔で生後16週齢あるいはそれ以後までを目安に3回程の接種を行います。それ以降は年1回を基本として追加接種をおすすめします。

猫のワクチン

ワクチンの抗体価検査について

ワクチン後にどれだけ体に免疫がついているかを血液検査でみることが可能です。

ワクチンの抗体価検査

適切なワクチネーションプログラムの後、ワンちゃんによっては2-3年、あるいはそれ以上の免疫の持続がある場合もあり、これまでは毎年1回の追加接種をしていた代わりに抗体価検査を行い免疫反応の持続を確認できれば良しとすることもできます。
近年、ワクチン接種に伴い、致死的なウイルス性疾患をみることが少なくなった一方で、ワクチンの副反応問題などもあり過不足ないワクチン接種が望ましいと考えられるようになっています(WASAVAのガイドライン)。
トリミングやホテル、ドッグランなどの施設を利用するのにワクチンの証明書が必要な場合には、抗体価検査の結果を提示すると受け入れてもらえる場合が多いですが、事前にその施設に問合せをしておくのが良いでしょう。

フィラリア症

フィラリア症

フィラリア症

蚊に刺されてフィラリア(犬糸状虫)という寄生虫がうつる病気です。犬に感染した成虫が心臓や肺動脈に寄生して心臓病症状を出して命に関わることもあり、いったん感染すると治療も難しく、室内犬でも感染する恐れがあるためしっかり予防しましょう。
もしもフィラリアに感染していた場合に駆虫薬を投与すると具合が悪くなってしまうこともあり危険ですので、犬は必ず毎春のフィラリア血液検査で感染がないのを確認してからの処方となります。

フィラリアの幼虫

フィラリアの幼虫

フィラリア症

近年では室内の猫にも感染することがわかっており、HARD(Heartworm Associated Respiratory Disease = 犬糸状虫随伴呼吸器疾患)と呼ばれる咳・喘息などの症状や突然死などを起こすことがあり、予防の必要性が啓発されるようになっています。
10匹に1匹の猫がフィラリア幼虫に感染していたという2010年の東京・千葉での抗体保有状況の報告もあります。

ノミ・マダニ

ノミ・マダニ

ノミ・マダニ

ノミやマダニは吸血したり他の病原体を運んだりして、人にも病害をもたらすことがあるやっかいな外部寄生虫です。

ノミが引き起こす症状と病気

■犬猫:ノミアレルギー性皮膚炎・瓜実条虫症・吸血による貧血
■ヒト:ノミ刺咬症・瓜実条虫症・猫引っ搔き病(バルトネラ症)

マダニが引き起こす症状と病気

■犬猫:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・犬バベシア症・吸血による貧血
■ヒト:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・日本紅斑熱など

※重症熱性血小板減少症候群とは

SFTSウイルスを保有したマダニに咬まれたり、感染した犬猫の血液・よだれ・鼻水などにふれたりすることで感染する。発熱・下痢・嘔吐や血液凝固異常や多臓器不全を起こし重症化することも多く、犬猫だけでなくヒトも致死率が高いため注意が必要です。

暖かい時期に活発になり他の感染した犬猫や草むらなどから衣服や被毛についたりして、いったん室内に入ると1年を通して繁殖できるため、まずは暖かい時期の予防が重要です。

年間の予防スケジュール

予防診療は通常診療時間外(12時から16時の間)の予防診療専用の予約枠もあります。診察・会計などの待ち時間も最小限となっておりますのでご希望の方はお電話でご予約ください。

犬の予防スケジュール 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
フィラリア検査
フィラリア・ノミダニ予防 注射での予防は
2・3月限定
食べるタイプ・スポット剤は月1回
狂犬病予防
混合ワクチン 年1回を目安に接種/抗体価検査

フィラリア検査時の採血で、ご希望の方は春の簡易血液健診を追加することも可能です。
成犬のフィラリアの予防は年1回の注射(プロハート)で行うことも可能ですが、毎年2・3月限定になります。ご注意ください。
フィラリアの最低限の予防期間は蚊が出るシーズンの1カ月遅らせた5月―11月です。競馬場や遊水池、ドッグランなど草むらでの散歩が多い方やおうちの周りの環境によっては投薬の時期を長めにすることをおすすめしています。

猫の予防スケジュール 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
フィラリア・ノミダニ予防 食べるタイプ・スポット剤は月1回
混合ワクチン 年1回を目安に接種/抗体価検査

ネコちゃんはフィラリア検査は行わずに処方できます。
12時から16時の予防診療専用の予約枠もあります。特に3-6月は外来が混みあう傾向が強いため、怖がりのネコちゃんのワクチン・フィラリア・ノミダニ予防、健診などでのご利用もおすすめです。電話・受付でご相談ください。

健康診断 team HOPE(チームホープ)健診

病気の早期発見で健康を守ることを目的にしたteam HOPEに加盟し、健康診断を実施しています。

健康診断 team HOPE

健診を通して
* 健康診断の普及
* 気軽に相談できる環境づくり
* ワンちゃん、ネコちゃんとの良好な生活
を目指しております。

①問診

日常の様子や気になっていること、食事などをご家族から聞かせていただきます。

②視診

目や耳、皮膚をはじめ、口腔内や歩き方の様子など目でみてわかる異常がないかくまなくチェックします。

③触診

痛がるところや嫌がるところがないか全身を丁寧に触ります。触知できるリンパ節の腫れや皮膚のしこりなどもチェックします。

④聴診

心音・呼吸音・腸の蠕動音などを聴診器でチェックします。

⑤血液検査

貧血や血糖値、肝臓、腎臓、膵臓の数値などから、各臓器の状態を調べます。

⑥尿検査

尿の濃さ、pH、潜血、タンパク、尿糖を調べることにより、腎臓病や膀胱炎、尿路結石などの泌尿器疾患、糖尿病の発見に役立ちます。

⑦便検査

便の状態や、顕微鏡で腸内細菌の状態や消化の具合、寄生虫の有無を確認します。

⑧レントゲン

胸部レントゲンでは主に心臓の大きさや肺の透過性などの呼吸器循環器の異常がないかを、腹部レントゲンでは各臓器の大きさや変形の有無を中心に確認します。

⑨腹部超音波検査

腹部臓器の腫瘍や腎膀胱結石の有無などをチェックします。


猫

※特に猫では1-3歳の約1割、3-9歳の約2割、9歳以上の約3割が無症状の心筋症症例だという報告(the CatScan study (2015); 保護施設で780頭の健常猫の心筋症有病率を超音波検査で調査)もあり、追加で心筋症マーカーの追加検査をおすすめしています。血液サンプルでいっしょに検査することができ、これまで通常の健診で難しかった無症状の心筋症の検出に非常に有用です。

→猫の心筋症

体調の変化が出た時には病状が進んでいることも少なくありません。
健康寿命を伸ばすためにも定期的な(6歳齢までは1年1回、7歳からは1年2回を 目安に)健康診断をおすすめしています。

team HOPE健診を希望される方へ

健康診断 team HOPE

team HOPE健診スタンダード:18,000円(当院は腹部超音波検査も標準装備)
team HOPE猫おすすめセット:22,000円(※猫の心筋症マーカーを追加)
team HOPE血液検査以外:○○円(血液検査は実施済みの場合)

また、これ以外にも外来ですぐできる簡易健診もご提案できます。

簡易血液健診:CBC+生化学〇項目:○○円(フィラリア検査時などの採血だけでできます)
簡易猫健診セット:○○円(血液健診+猫の心筋症マーカー+尿路のみエコー)

来院時にご相談ください。